日常のトピ

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運動会の思い出

 

もうすぐ秋です。秋といったら、運動会です。今年も「運動会総合優勝」という、この上ない栄誉をかけた闘いが始まります。20代の私からすれば、「そんなもん、屁の突っ張りにもならねぇや」という感じですが、当時の私は、「是が非でも優勝したい!」と意気込んでいました。今回は私の運動会の思い出(主にリレーについて)を書いてみたいと思います。

 

私の運動会は、運動会の前日から始まります。というよりも、前日こそが一番大事なのです。小学生の頃の私は、運動会前日になると、屋上へ出て、夜空のお星様達に「僕たちのチームを優勝へ導いて下さい。お願いします!」と祈りを捧げていました。小一から中三まで、運動会前日のお祈りは欠かしたことがありません。今振り返ってみると、とても可愛げがある子供でした。

 

「祈る暇があったら、練習すればいいのに」と思う人もいるかと思います。しかし、小学生の頃の私は足が速く、毎年のように、リレーの選手に抜擢されていました。ぶっちゃけて言うと、「練習する必要性がない」のです。「とくにすることがないので、ただ祈る」という崇高な行為を、誰が諫められるでしょうか。

 

今の私だったら、そんな純粋な少年に言えることは何もありません。「ごはん粒、付いてるぞっ!」と言いながら、ほっぺたに付いている飯粒をヒョイと取って、パクッと口に入れて、ペッと吐き出すぐらいのことしか出来ません。一人の人間に出来ることなど、限られています。

 

私のお祈りは、深夜にまで及ぶのが常でした。そのため、必然的に、体調不良を抱えたまま、運動会に臨むことになります。しかし、当時の私はイキがっており、「これぐらいのハンデがあった方が面白い」と、一人ほくそ笑んでいました。本当に嫌な子供です。こういう子供を私は好きですけどね(自己救済)。

 

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運動会というのは、間違いなく「ハレ」の舞台です。どの児童も、高揚感を抑えることが出来ません。かくいう私も、「誰よりも速く走る」という熱い思いで頭がいっぱいでした。そんな私の思いとは無関係に、運動会のプログラムは滞りなく消化されていきます。

 

そんな中、昼休憩に入って、暇を持て余していると、背後からいきなり、「センス!ちょっとバトンパスの練習でもしない?」と声をかけられました。一応説明しておくと、「センス!」というのはかけ声です。当時、私の半径三メートル以内で大流行していたものです。あと、「自爆スイッチ、オン!」というのも流行っていました。まぁ、小学生男子なんてそんなものです。

 

私は蟻の進行方向に「砂の壁」を構築するのに夢中だったので、「練習で完璧だったから、もういいんじゃない?」と答えました。すると、相手は気落ちした表情を浮かべながら私の手元を凝視して、「でも、蟻の邪魔をしているぐらいなら・・・」と蚊も消え入るような声でつぶやきました。

 

私は、煮え切らない態度を示す相手に向かって、「何か意見があるなら、はっきりと言いたまえよ!」と言いました。すると、相手は勇気を振り絞って、「わかった!あのね!」と阿呆みたいに大きな声で話し始めました。私はあまりの声の大きさに面食らって、「うっさい!」と、相手の話をさえぎりました。相手の顔には「どうすればいいんだ」という文字が浮かんでいました。知らんわ。

 

そうこうしている間に、リレーの時間が近づいてきました。私は気分を落ち着かせるために、校門のすぐ横に出展している屋台のおじさんと、プロ野球の話をして盛り上がっていました。遅れてリレーの選手が待機する列に加わると、「なにしてたの」と先程のバトンパス野郎が声をかけてきました。私は相手に向かって、「子供は知らなくていいことだ」と言い放ちました。相手は「たまげたわ~実際」と優しく応じてくれました。持つべきものは友です。

 

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そして、いよいよリレーが始まりました。前述したように、私は足は速かったのですが、それ以上に速い男子が同じクラスにいたため、「アンカーの前」という、中途半端な順番に甘んじていました。ちなみに、その男子は、「ペテルギウス」というあだ名でした。理由はわかりません。多分、言葉の響きがかっこいいからです。

 

私は前走者からバトンを受け取り、颯爽とスタートを切りました。校庭を囲んでいる桜の木々が、視界の両端を彩ります。三位でバトンを受け取ったので、「一人抜かして、二位でペテルギウスにバトンを渡そう」と決意しました。私はぐんぐんとスピードを増し、すぐさま二位の走者に追いつきました。次の瞬間にはその走者に並び、「速いなお前。今晩どう?」という目配せを受けましたが、「やかましい」とつれない返事をしました。今となっては、相手の誘いを断ったことを後悔しています。もちろん嘘です。

 

校庭を一周してペテルギウスにバトンを渡すと、彼は猛獣のような叫び声をあげながら、一位の走者をあっという間に抜き去りました。そして、鮮やかにゴールテープを切った次の瞬間、その場に崩れ落ちました。「大丈夫!?」と駆け寄るものは誰一人としていませんでした。ペテルギウスが走り終わった後にその場に崩れ落ちるのをかっこいいと思っているのを皆知っているので、「またかよ」という表情で彼の愚かな振る舞いを遠巻きに眺めていました。

 

全国の児童のみなさん、運動会を楽しみましょう。きっと、将来の自分にとって、良くも悪くも、何らかの影響を及ぼすはずです。私とバトンパス野郎とペテルギウスも、影ながら応援しています。

 

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