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日常のトピ

たまにどヘタ漫画

『気分上々』 森絵都

 

作家の森絵都による短編集です。9つの短編が時系列順に収められています。本書には、自称・発明家の夫と結婚した女性の話や、「自分革命」を成し遂げるために、親友に対して一年間の絶交を申し入れる女子高生の話、39歳で運命的で鮮烈な恋に遭遇する女性の話など、バラエティに富んだ美しい短編集が収められています。

中でも、本書の表題にもなっている「気分上々」は、異彩を放っています。この話は、「男は黙して語らず」「不器用な男ですから」という、古めかしい世界観を持って寡黙の世界に生きた父親の死後、父から受け継いだ様々な言葉を曲解しながらも、おバカな言動を繰り広げる中学生男子の話です。

 

森絵都さんの得意とする中学生モノですが、その会話の妙技には毎度のことながら感動を覚えます。男子の間で繰り広げられる頭カラッポな会話や、さらりと出てくる「エンゲル係数」など、その抜群のセンスに彩られた物語は、確固たる吸引力を内包しています。

 

追記 2014年に読んだ小説の中では、久坂部洋さんの「悪医」が1番おもしろかったです。末期がん患者の視点と、その患者を担当した医師の視点を交互に織り交ぜながら、それぞれが抱える悩みや苦しみ、ひいては、現代のがん医療体制への疑問点や改善点などを真摯な筆致で書ききった、極上のエンターテインメントです。

 

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