日常のトピ

たまにどヘタ漫画

2015年に出版された本の中でとくにおもしろかった本10冊

 

今年ももう終わりですね。寒さと貧乏揺すりで震えが止まらない今日この頃です。さて、今回は、2015年に出版された本の中で、とくにおもしろいと感じた本を10冊挙げてみようと思います。今年は、3Dエロアニメにハマったこともあって、本を読む時間があまりありませんでしたが、なんとか書いてみます。ご参考になれば幸いです。

 

男性漂流 奥田祥子

 

「中年男性」の悲哀を描いたルポルタージュです。現在も、実の母親を介護しているという奥田さんだからこそ書くことができた、身体実感のこもった一冊です。本書に登場する男性達は皆、境遇の違いこそあれど、社会的な役割を全うするために、もがき苦しみながら真摯に生きています。そんな彼らの姿は、どこまでも美しいです。余談ですが、漂流つながりということで、吉村昭さんのドキュメンタリー小説「漂流」もとてもおもしろいので、未読の方は是非。

 

20代で隠居 週休5日の快適生活 大原扁理

 

「隠居生活」を営んでいるという大原扁理さんのエッセイです。隠居生活といっても、完全な隠居というわけではなく、週に2日働いて、残りの(という表現が適切かどうかは不明)5日間を隠居して過ごすという「半隠居」です。中島義道さんの「人生を『半分』降りる-哲学的生き方のすすめ」という本に書かれている「半隠遁」をソフトにしたような生活です。とても充実した日々を送っているようで、素直に羨ましいです。

 

本書を読んで思ったのは、大原さんは、「死をしっかりと見つめている人」なのだろうということです。「いつまでも生きるつもりでいる人」の場合、欲望の赴くままにあれやこれやに手を出した結果、身動きの取れない状態に陥ってしまうという人が多いですが、大原さんの場合、「本当に必要なもの」だけを慎重に選び取り、それらを慈しみながら丁寧に生きているという印象を受けます。

 

 余談ですが、「大原扁理」という名前の由来が少し気になります。「オー・ヘンリー」か「大腹減り」が由来だと思うのですが、真相は闇の中です。次作も非常に楽しみです。

 

コンテンツの秘密 川上量生

 

KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長の川上さんによる「コンテンツ論」です。「コンテンツとはなにか」「コンテンツをつくっているクリエイターとはどのような人物か」「トップクリエイターと普通のクリエイターの差はどこにあるのか」といったテーマを深く掘り下げて、丁寧に解説しています。川上さんの著作は全て読んでいますが、本書が一番おもしろかったです。

 

紋切型社会 武田砂鉄

 

世間に溢れている「紋切型のフレーズ」を鮮やかな筆致で解きほぐした名著です。武田さんが紡ぎ出す文章はとても重厚で、歯ごたえがしっかりしています。プロフィール欄に大学名が明記されていない(「大学卒業後」と書かれている)理由も本書では明かされており、「出身大学のこり(しこり)」も見事に解きほぐしています。

 

マーケット感覚を身につけよう ちきりん

 

社会派ブロガーのちきりんさんが「マーケット感覚」を身につける必要性を説いた一冊です。「マーケットの構造」についてではなく、あくまでも、「マーケット感覚」について論じた本なので、非常にとっつきやすい内容になっています。

 

ちきりんさんはブロガーとして有名ですが、私の中では「本の人」です。ブログの方はほとんど読んだことはありませんが、本の方は全部読んでいます(はてな関連でいえば、phaさんや熊代さんの本も読んでいます)。ちきりんさんの本は、どれもおもしろいので、読むのにとにかく時間がかかります。本書は、読了までに10時間ぐらいかかりました。

 

余談ですが、世の中には、「本を速く読めることを誇りにしている人」がいます。私が大学生の頃、休み時間に本を読んでいたら、同じゼミの人から、「なんでそんなにゆっくり本を読んでいるの?」ときかれたことがあります。私は、意識してゆっくり本を読んでいたわけではありませんでしたが、その人にとっては、異常なほどゆっくり本を読んでいるように見えたのでしょう。

 

その人からは、「速読本」を借りて(というより、強引に押しつけられて)読んだことがあるのですが、あまりピンときませんでした。「『早食いの方法』を会得することによって、自分の人生の幸福度は向上するのだろうか」という思いを抱きつつ、「ためになったよ!」と満開の笑みをたたえながら、借りた本を返却しました。結局のところ、食事も本も、よく噛んで味わった方がおいしく感じると思います。

 

本質を見通す100の講義 森博嗣

 

「100の講義シリーズ」の第四弾です。森博嗣さんの小説は数えるほどしか読んだことはありませんが、ノンフィクションはほぼ全て読んでいます。これは森博嗣さんに限った話ではありませんが、理系の人の本は、安心して読めますね。本シリーズと「つぶやきシリーズ」は、いつまでも続けてほしいです(切実な願い)。

 

ウェブニュース一億総バカ時代 三田ゾーマ

 

ウェブニュースサイトの内実を赤裸々に語った本です。ウェブ関連の新書はそれなりに読んでいるので、さほど目新しい記述はありませんでしたが、その方面にあまり明るくない人にとっては、最適な一冊です。中川淳一郎さんの著作と合わせて読むと、理解が深まると思います。

 

現代暴力論 「あばれる力」を取り戻す 栗原康

 

アナキズム研究者の栗原康さんによる「暴力肯定論」です。暴力肯定論といっても、「暴力は正しい。誰彼かまわず暴力を振るうべきだ」という主張をしているわけではありません。現代社会に存在している、有形無形の暴力(及びそれに類するもの)に対する抑止力として、「いざとなったら、いつでも暴れてやるんだという気概」を持つことが大切である、ということを栗原さんは主張しています。「抑圧された生」を受容するのではなく、「解き放つ生」を獲得しようという試みです。多少とっつきにくい本ですが、内容は非常におもしろいです。

 

余談ですが(余談ばっかりだな)、本書に巻かれている帯には、栗原さんの写真がでかでかと映し出されています。栗原さんはやたらと男前なので、「ジャケ買い」ならぬ「帯買い」をした人も相当数いると思われます。今年出版された、同著者による「はたらかないで、たらふく食べたい」もお勧めです。

 

大放言 百田尚樹

 

作家の百田尚樹さんによる論考集です。本書では、様々な題材が取り上げられていますが、一番印象に残ったのは、「図書館は新刊本を(発売してから)1年は入れるな」という主張です。これは、図書館という存在によって、出版社の販売機会の相当数が奪われているのだから、何らかの策を講じる必要がある、という至極真っ当な主張です。「新刊本を入れるな」ではなく、「(発売してから)1年は入れるな」という部分に、譲歩の痕跡がしっかりと残されています。私もこの主張には全面的に賛成です。

 

東野圭吾さんも「たぶん最後のご挨拶」の中で、「図書館利用者が何万人増えようが、レンタルで何千冊借りられようが、出版社にも作家にも全く利益はないのだ。だから私は『本を買ってくれる人』に対して、これからもその対価に見合った楽しみを提供するために作品を書く」と書いています。

 

少し話は脱線しますが、私が初めて図書館に足を踏み入れたのは、5歳のときでした。親に連れられて図書館に入った私は、本で覆い尽くされた光景を目の当たりにして、とてつもない衝撃を受けました。さらにその衝撃に拍車をかけたのが「この建物の中にある本は、全て無料で読むことができるんだよ」という親の一言でした。その言葉を聞いた瞬間に感じた「後ろめたさ」は、今でも鮮明に記憶しています。

 

私も図書館をよく利用するので、図書館の利便性は十分に享受しています。ですが、現状の図書館の在り方が最善だとは思いません。やはり、なんらかの形で、利用者から料金を徴収する必要はあるでしょう。具体的な案としては、「無料会員」と「有料会員」に分けることなどが考えられます。全ての利用者から料金を徴収するのは現実的ではないので、何らかの特典を付与することで有料会員になってもらい、その中から料金を徴収するのが良いと思います。

 

有料会員の特典としては、①本のリクエスト(注文)権を有料会員だけに認める②本の予約順位は、有料会員を優先する③有料会員専用の閲覧室をつくる、といったところです。有料会員の料金は、月500~1000円ぐらいが妥当でしょう。私も月1000円ぐらいなら喜んで支払います。まぁ、ただの机上の空論ですけどね。ですが、空論でも、「無論」よりは大分ましでしょう。

 

本当にあった図説 暗黒性風俗ファイル マニアックラブ研究会

 

人類の「エロの歴史」を総括した本です。一話につき一点のイラストがついているので、作品世界にすんなりと没入することができます。残酷な話も多いので、敬遠する人も多いと思います。ですが、どの話も、紛れもなく、人類が関わってきたものです。エロの歴史を顧みることは、人類の歴史を顧みることと同義です。マニアックラブの他の作品もおもしろいのでお勧めです。導入としては、「失禁少女の基礎知識」あたりが良いと思います。

 

さいごに

 

冒頭でも書いたとおり、今年はあまり本を読めませんでした。「買ったけど読んでいない本」が山と積まれており、「果たして、これらの本を読み切れるのだろうか」と暗澹たる気持ちでいっぱいです。ぼんやりとした目標として、「20代のうちに聖書を読む」というものがあるのですが、そろそろ実行に移さないとマズいですねぇ。1年かけて1冊の本をじっくり読むというのも良いかもしれません。読書はやっぱり楽しいです。それでは皆様、よいお年をお迎えください(早すぎる年末の挨拶)。

 

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