日常のトピ

たまにどヘタ漫画

『大河の一滴』 五木寛之

 

いま『歎異抄』の心を現代に問う平成人必読の書!人生は苦しみと絶望の連続だ。地獄は今ここにある。その覚悟が定まったとき、真の希望と生きる勇気が訪れてくる。ブッダ親鸞も究極のマイナス思考から出発した。五木寛之がはじめて赤裸々に吐露する衝撃の人間論。(「BOOK」データベースより)

 

作家の五木寛之さんによるエッセイ集です。「人間はみな『大河の一滴』である。そのようなちっぽけな存在だからこそ美しく、尊いのだ」という思想に貫かれた内容になっています。釈迦の言葉である「天上天下唯我独尊(自分という存在は、誰にも変わることのできない唯一無二の存在であるから、この命のままですでに尊いのだ)」を体現したような一冊です。

 

本書の中で最も印象に残ったのは、五木さんの友人が選挙に出馬した際に、その応援に駆けつけたというエピソードです。その友人は「二度と飢えた子供たちの顔は見たくない」というスローガンを掲げていたそうですが、五木さんはそのスローガンを指して、「ぼくは、二度と飢えた大人たちの顔は見たくない。それが本音です」と言ったそうです。

 

通常の感覚からすれば、五木さんの言葉よりも、友人のスローガンの方が「真っ当」に思えます。しかしながら、五木さんは、旧日本帝国の植民地であった朝鮮で敗戦を迎えて、旧ソ連軍の軍政下で難民として過ごした経験を持つ人です。その難民として過ごした時期に、「飢えた大人たち」が飢えた子供達に対して、乱暴狼藉を働く場面を何度も目にしたそうです。

 

異常時にあらわになった「人間本来の姿」を目の当たりにした五木さんの「二度と飢えた大人たちの顔は見たくない」という言葉は、真摯かつ切実です。「地獄のような世間」で生きた経験を持つ五木さんが放つ言葉には、揺るぎない力が備わっています。

 

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