日常のトピ

たまにどヘタ漫画

『ぼくの宝物絵本』 穂村弘

 

歌人穂村弘さんによる「絵本紹介エッセイ」です。穂村さんが魅了された様々な絵本について、ユーモラスな視点を交えながら丁寧に解説しています。穂村さんの「絵本愛」がふんだんに詰まった一冊です。

 

本書で紹介されている絵本の中で最も印象に残ったのが、太田螢一さんの『働く僕ら』です。『働く僕ら』では、絵本という形式を用いて、様々な労働の形を鮮やかに描いています。絵もさることながら、その激烈な文章に強く惹かれました。以下引用します。

 

「キュルキュル音をたてて飛び出す螺旋の鉄くず、くりぬかれる金属、回転するドリルの刃、握られたレバー、注がれるオイル、ねじを切られ磨かれた部品、日夜続く流れ作業、緊張の白い頬、正確無比!!」

 

「緊張の白い頬」という描写が差し挟まれることによって、「労働の切迫度」がクローズアップされています。「言葉の流れ作業の中にポイと投げ込まれる人間性」に面食らいました。

 

絵本というのは、つくづく不思議な表現形式です。「絵」本というからには絵が主体なわけですが、その主体である絵に依存しないというか、「絵だけで成立させるにはもったいない空気感」というものが絵本には満ちあふれています。「絵と文章の健全な共犯関係」を楽しむために、人は絵本を開くのでしょう。

 

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