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日常のトピ

たまにどヘタ漫画

『異端の人間学』 五木寛之 佐藤優

 

野蛮で残酷、時に繊細で芸術に過剰なまでの情熱を傾けるロシア人。日本と近く、欧米に憧れて近代化してきたという似通った過去も持つ。だが私達は、隣国の本性を知っていると言えるのか。欧米中心のヘゲモニーが崩れつつある今、世界はロシアが鍵の一つを再び握った。ロシアを知り理解し得なければ、今後日本は生き残れない。一九六〇年代からソ連・ロシアと深く関わってきた二人の作家が、文学、政治経済、宗教他あらゆる角度からロシアを分析。人間とは、国家とは、歴史とは、そして日本人とは何かを浮き彫りにしたスリリングな知の対論。(「BOOK」データベースより)

 

作家の五木寛之さんと佐藤優さんによる対談集です。「ロシアという異端の国」を叩き台にして、様々な論を熱く深く交わしています。政治、経済、文学などのあらゆる見地からロシアを見つめるその姿からは、「燐国としてのロシア」への確かな愛情を感じます。

 

本書の中で最も印象に残ったのは、「レストランと権力と」という章です。この章の中で、「公式の経済」と「非公式の経済」について論じています。以下引用します。

 

「このホテル(佐藤優さんがソ連にいた頃に利用していたホテル)の二階にレストランがあります。前菜、キャビアとイクラ、パンケーキ、じゃがいもと蒸し鶏の首都風サラダ、生野菜、キュウリ、赤カブ、ペリメニ(ロシア風水餃子)、フィレステーキが出てくる。それでアイスクリームが出てきてコニャックとワインを飲む。これで締めて三ルーブル五〇カペイカぐらいで、キュウリ一本の自由市場(ルイノック)での価格と同じなんです。」

 

上記のホテルは、「ソ連共産党の幹部専用のホテル」であるため、一般庶民は利用することができません。「公式の経済下で困窮する庶民」と「非公式の経済下で贅沢三昧をする幹部」の違いが如実に表れたエピソードであると言えます。

 

これは経済に限った話ではありませんが、あらゆる物事には「表の面」と「裏の面」があります。「裏の面は許さない!」という理想を掲げて上昇した人でも、いざ裏の面を目の当たりにすると「裏の面の魅力」にハマってしまい、そのままズブズブと沈んでいく、というケースは枚挙に暇がありません。「堕落に身を任せる快感」というのは、洋の東西を問わず、万人に共通する普遍的な性質なのでしょう。

 

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