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日常のトピ

たまにどヘタ漫画

『ハルはめぐりて』 森泉岳土

漫画

 

中学生のハルが、ベトナムや台湾などの国々を巡り、健やかに成長していく様子を丁寧に描いた作品です。各地の風景描写はもちろんのこと、ハルの心理描写も素晴らしく、作品世界にゆったりと浸かることができます。とても上質な旅漫画です。

 

本作を読んでまず驚いたのは、ハルの中学生という設定です。「表紙のこの人(ハル)は、大学生ぐらいなのかな」と思いながらページをめくると、「ハルは中学生 ためたお小遣いでベトナムひとり旅」という文章にいきなり突き当たり、驚愕しました。大人びた容姿もさることながら、お小遣いを十数万円~数十万円(中学生にとっては、とてつもない大金)も貯めることができる意志の強さに感服しました。「栴檀は双葉より芳し」とはまさにこのことです。ハルは将来、後世に残る素晴らしい旅行記をしたためることになるでしょう。

 

また、ハルの特徴として、「額の3本毛」を挙げないわけにはいきません。他とは明らかに髪質が異なる毛が額から3本生えているのです。ハルの3本毛は、オバQの3本毛に比肩するほどの存在感を放っています。オバQの3本毛を引っこ抜いて、ハルの額にそのまま植毛したのかと邪推してしまうほどです。毛は大事。

 

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さらに、本作は、あとがきも必読です。自分は異質な存在であると思い込んでいた作者がインドへ旅行に行った際に、日本人が集まる宿において、自分と同じような人達を見て「全員オレじゃん」と思ったというくだりが非常に印象的でした。「異国における非日常」を経験した人だけが、「祖国における日常」の歪さや尊さを実感することができるのだと思います。「旅のかけがえのなさ」というのは、時代を問わず不変のものなのでしょう。

   
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